ファインダーは追憶の小窓

写真が好き。だれでも気になる小さなことや奥深いこと。そんなことを皆さんと一緒に考えて写真について深めてみたいと思います。

レンジファインダーという選択。

最近はカメラにあまりこだわりがなくなったので以前に書いたようにiPhone Xで写真を撮ることが多くなりましたが、以前は基本的にはコンパクトカメラかレンジファインダーカメラばかり持って出ていたなぁという気がします。

気がするだけでなく、実際そうだったんですけれど(笑

持ち出す理由としては、軽くてカバンの中にもポンと入れておけるという手軽さもありますが、やはりスナップを撮る時のスタイルとしてはコンパクト機やレンジファインダーの方が機動力が高いという利点が大きいと思います。

よく使っていた(いる)カメラは、コンパクトカメラだとリコーGR、レンジファインダーではやっぱりライカM3になります。

GRはいまではデジタルのほうを使っていますが、以前はフィルムのGR1sも大好きでよく持ち出していました。 

            


最高のスナップシューターだと思う。

 

一眼レフや二眼レフでは、やはりファインダー越しにジックリと構えることが多くなります。

というよりも、そういう撮り方の方がこれらのカメラでは自然かな?という気さえします。

もちろん、一眼レフや二眼レフでもサクサク撮ろうと思えばそういう撮り方だってできます。

でも、どうしてもこういうカメラだとファインダーを覗きながらジックリ構えてしまうんですね。

一方、レンジファインダーだと実にリズミカルに撮れる。

実際、かつての名フォトグラファー達はライカなどを片手に小気味よくスナップ撮影をしていたことでしょう。

ずいぶん以前ですがウィリアム・クラインが来日した時のスナップシーンでは、まるで踊っているかのようなリズムでノーファインダーも交えてシャッターを切っていたそうです。

(おそらくその時のカメラはニコンS3だと思われます)

 

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このリズムの違いは、実はファインダーの構造の違いによると思います。

 

レンジファインダーカメラの最大の利点は、ファインダー内でブライトフレームの外側まで見ることができるということです。

しかもレンズを通った像をいくつものミラーやプリズムでファインダーに誘導する一眼レフや二眼レフとは違って、モチーフそのものをほぼダイレクトに見られるというのも美点です。

さらに言うと、一眼レフでシャッターを切った時のミラーアップによるブラックアウトもありません。

スナップの際、フレームの外側まで見えているということやブラックアウトが無いということは、人の動きを予想することができますし、構図を確認するにも非常に便利です。

これはライカフォクトレンダー・ベッサはもちろんのこと、フィルムのコンパクトカメラでも基本的に同じです。

フィルム時代のコンパクトカメラのほとんどはレンジファインダーですから。

 

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また、一眼レフに比べてボディもレンズも比較的小型軽量であることから、ノーファインダーでの撮影も容易に行えます。

ノーファインダーでなくとも、予め絞りを絞っておくことでピント合わせの作業を省いてリズミカルに撮ることも容易です。

(暗い場所で開放絞りでピント合わせする必要があるとき以外、スナップの場合は絞り込んで目測で撮る方法が基本です)

さらには、一眼レフのようなミラーが無いのでミラーショックも無く、暗い場所での手持ちのスローシャッターにも強いという利点もあります。

 

現在は一眼レフに取って代わられてレンジファインダーは細々と生き残っている“化石”のようなカメラですし、ミラーレス機がメインになりつつある今、一眼レフだってこの先どうなるか分からない時代ではありますが、あらためてレンジファインダーの良さを見直してもいいんじゃないかな、と思ったりします。

むろん一眼レフや二眼レフがダメだということではありませんが、今のように一眼レフ一辺倒だとカメラの違いによる様々な撮影手法を楽しむという行為がスポイルされてしまうと思います。

 

一眼レフには一眼レフの、二眼レフには二眼レフの、レンジファインダーにはレンジファインダーのそれぞれの美点がある。

けれども今のユーザーは、新品カメラでは一眼レフしかほぼ選択肢が無いわけですから、そもそもレンジファインダーカメラに触れる機会すらない。

 

これは非常にもったいないことだと思います。