ファインダーは追憶の小窓

写真が好き。だれでも気になる小さなことや奥深いこと。そんなことを皆さんと一緒に考えて写真について深めてみたいと思います。

ライカ M3

 

 

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渋谷にて

           

 
イカはライカ
機材にあまりこだわりがなくなってきた今でも、ライカは特別なカメラの一つです。
 
昔は「ライカ一台、家一軒」と言われたそうで、相当高価なカメラでした。
そんな超高価なカメラが、いまでは中古で僕のような普通のおじさんでも入手できるようになったことは幸せな事だと思います。
で、やっぱりM型ライカ、特にその中でもM3はとってもとっても素敵なカメラです。
そんなこと、何も今さら、ましてや僕のような分際で申し上げるまでも無いのですが…

バルナックライカの完成形といわれるⅢfを入手したときも、ある種の感慨はありました。
けれどM3は、手にしたときよりも実際に使って分かる良さがあるんですね。
こんな僕でも使うにつれ「これはいいなぁ」とジンワリ思うのですから、さすがは木村伊兵衛アンリ・カルティエ=ブレッソンに代表される古今東西の名フォトグラファーを魅了してきた名機だけあると思います。
確かにM3であろうが、LOMO LC-Aであろうが、「写るんです」であろうが、チャンと写真は撮れます。
なにもM3でなければいい写真が撮れないというわけではないのです。
ただ、過去から誰もがこのカメラを賛辞してきたことの繰り返しですが、ほぼ等倍で明るく見やすいファインダー、それに起因するピント合わせのしやすさ、適度な重量感、洗練された操作感、最後になんと言ってもあのシャッターフィーリングは、他のカメラでは味わえない悦の世界にいざなってくれます。
要するにM3というカメラは、カメラの基本動作である ①ファインダーを覗く ②ピントを合わせる ③シャッターを切る ④巻き上げレバーを巻き上げる という一連の動きすべてが洗練されているのですね。
これは、同じライカでもバルナックや他のM型では味わえないものですし、少なくとも僕が所有しているカメラたちには無いフィーリングです。
写真を撮ることと同時にカメラを触る愉しみというものを味わえる数少ないカメラなのだと思います。
ということで、こんな僕でも今まで数々の先輩や知人が「ライカを買うならM3が一番」とおっしゃっていた理由が徐々に分かってきた気がしています。

            

                                                           Leica M3


イカ自体非常に有名なので、たいていの方は名前くらいは知っておられると思いますが、ここからは「ライカって結局なんじゃらホイ」という方へ、カメラ史においてエポックメイキングな存在であるM3について些少な知識で少しご紹介したいと思います。

以前のコラムで書いたと思いますが、今では最もポピュラーなフィルムサイズである“35mm判”のカメラを開発したのはライツ社なんです。
その当時のカメラはガラス乾板を使用するような大型カメラだったのですが、ライツ社の著名な技術者であるオスカー・バルナックという人が、映画用の35mmフィルムをスチルカメラに転用できないかと考えたんですね。
それが、1914年に試作した「ウル・ライカ」というカメラで、当時としては画期的な小型カメラに仕上がりました。
これがいわゆる『バルナック型ライカ』の原型でして、最終型のⅢgまで続きます。
M3は、このバルナック型ライカを超える新しいレンジファインダーカメラとして1954年に登場した、当時の最先端を行くカメラでした。
バルナック型からの改良点は、
①巻き上げをレバーにし、裏蓋が開くようになりフィルムが入れやすくなった。
(注;フィルムカメラでは超スタンダードな巻き上げレバーの機能ですが、M3で一気にスタンダードに)
②自動リセットのフィルムカウンターが付き、レンズがワンタッチで装着できるようバヨネット方式になった。
(注;バルナック型のLマウントはネジのようにまわしてレンズをはめ込んでいた)
③距離計とビューファインダーが一体型となった。
(注;バルナック型では距離計用ファインダーと撮影用ファインダーが分かれていた)
ファインダーについてはM3の特に優れている部分で、0.91倍で見た目とほぼ同じ像が映し出されますし、虚像と実像の境がはっきりと分かるのでバルナックまでのぼやけた測距部より高い精度が得られます。
極めて精度の高いいくつもの部品によって構成された工芸品のようなカメラを、職人技で組みたてて販売したのですから、M3はコスト度外視だったとも言われています。 


このようにレンジファインダーカメラの新しいスタンダードを一気に確立させたM3の登場で、それまで『ライカに追いつけ、追い越せ』と日夜奮闘していた日本のカメラメーカーはレンジファインダーの開発をあきらめ、主力を一眼レフカメラの開発へ移行してしまいました。
しかし、それが奇しくも現在まで続く一眼レフカメラのトレンドを生み出し、ライカはそのトレンドに乗り遅れてしまいました。
しかも、M3の後継機はフィルムカメラとしてはM7まで続きましたが、結局、今でも「M型ライカの王様はM3」と言われるように、自社内でもM3を超えることができませんでした。
このように、M3はあまりの完成度の高さゆえに、ライツ社(その後ライカ社)自身の首を絞めてしまったとも言われているのです。



とはいえ、どんなにいいカメラやレンズであろうが、撮るのは自分自身です。
これからも名機に弄ばれつつじっくりとさっぱりと写真を楽しんでいこうと思っています。

 

 

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