ファインダーは追憶の小窓

写真が好き。だれでも気になる小さなことや奥深いこと。そんなことを皆さんと一緒に考えて写真について深めてみたいと思います。

フィルムカメラのススメ

僕は、以前から結構いろんな方に「フィルム写真おもしろいし、露出計も無い古いマニュアルカメラだと撮影技術の勉強にもなるからやってみたら?」とお勧めしています。
完全にデジタルが主流な今、フィルム写真などという不便なものを嗜むなんて時代錯誤的感覚すらあるんですが、なんというかデジタルには無い奥深さが楽しいわけなんです。


僕が思うデジタルの大きな利点は「撮った画像がその場で見られる」「RAW現像だとかなり幅広く修正・加工ができる」「その時々でISO感度が変更できる」という点だと思いますが、フィルムではそれらができません。
撮った画像を現像するまで見られないワクワク感とか「ちゃんと撮れてるかな?」というドキドキ感…

現場できちんと露出を決めなければならないストイックさ(ネガだとある程度許容範囲がありますが)…

一度フィルム室にセットしたフィルムは撮り切るまでISO感度を変更できないという潔さ…


少し前までは当たり前だったこういう不便さを乗り越えることさえフィルム写真の奥深さおもしろさだと思うのです。
むしろ、そう思える方でないと、今どきフィルム写真を嗜むことなんてできないかもしれません(笑)

それと、撮った結果が双方ではかなり違う。
以前にもコラムで書きましたが、僕がフィルム写真を好む最大の理由は、その風合いです。
デジタルは便利なアイテムですからそれはそれで重宝するのですが、どうしても“写りすぎ”てしまう。
あのシャープネスがキンキンに効いた写真ばかり撮っていると食傷気味になってしまうんですよ。
(なので、デジタル臭くないデジタル写真を観るとととてもうれしく思うのです)
フィルムでもネガとポジではかなり違いますけれど、デジタルとは違う柔らかい画質の方が自分としては落ち着く気がしています。

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公園にて(HASSELBLAD+ネガフィルムで撮影)


あと、自分的にフィルム写真というかフィルムカメラを扱う楽しさがもう一点あるんです。
それは「フィルムの巻上げとシャッターチャージ」です。
例えば、ライカM3や古い一眼レフなどでは巻き上げレバーを「シャッ」と親指で回転させる、セルフコッキングではないCONTESSA35やSignet35なら巻き上げダイアルを廻してからシャッターをチャージする、Rolleiflexならあのクランクをグリグリ廻すことで、「さぁ、次!かかってこい!」と戦闘意欲のような感覚を掻きたてられるわけです。
自動巻きの現代的なフィルムカメラだって、1枚撮るたびに「ギュイン」というフィルムを巻上げる音がするとやはりこちらの気分もチャージされます。

要するに、次のコマを供給してシャッターチャージするという動作自体で、撮影のリズム感をつかむんですね。

 

            

          OLYMPUS OM-1は初心者の方にオススメ。露出計は壊れているものが

          多いので自分で露出を決めなければいけないけれど、小型コンパクトで

          撮っていて楽しいカメラのひとつです。


まぁ、デジタルがいいかフィルムがいいかという議論は、例えれば「一軒家がいいか、マンションがいいか」というのと同じで、お互いにメリットとデメリットが交錯するため、最終的には使う側の嗜好で結論付ける以外ありません。
ただ、マンションと一軒家の両方所有することはできませんが、カメラだとどちらも所有することができますよね。
デジタルカメラから写真を始めたという方も多くなっている今こそ、まだフィルムカメラをお持ちで無い方は、お安い中古でも全然構わないのでぜひフィルム写真を楽しまれてはいかがかと思うのです。

ご興味のある方はいかがですか?おひとつ…(笑)