ピントはどうやって合わせてる?
前回、ピントが合っていない写真について話をしました。
そこでは、たとえピントが合ってなくても作品として成立する場合することを考えてみましたが、基本的には僕も写真を撮るときはピントを合わせることを前提としています。
スナップ写真が好きなことから、以前にもお話ししたように、街でスナップシューティングをするときは基本的に絞りをF11くらいにしておいて、被写界深度を稼ぐことでマニュアルフォーカスのカメラでもピントが外れるの無いようにしています。
それ以外でピントを合わせる必要があるとき(例えばなにかを接写するとか、モチーフを際立たせるとか)、オートフォーカスのカメラの場合は中央一点のフォーカスポイントしか使いません。
オートフォーカスのカメラでは、ファインダーの中心点から周りにいくつものフォーカスポイントがあり、初期設定ではそのポイントのどこかに被写体が引っ掛かればそこにピントが合うようになっています。
例えば、エントリーモデルの一眼レフカメラであるキヤノンのEOS Kiss X9iの場合でも、AFポイント(測距点)は45点もあります。
同じEOSシリーズの7D MarkⅡでは測距点は65にもなり、もうこうなるとファインダーのどこでモチーフを捉えても必ずピントは合うんじゃないかというくらいの迫力です。
でも、こんなになぜ測距点があるかというと、動きものを撮る時の成功率を高めるためなんですね。
よくある例ですが、運動会で徒競走の写真を撮る時、測距点が多いほどランナーを捉える確率が高くなりますし、モータースポーツや野鳥撮影なんかでも同様です。
もちろん、測距点が多いおかげでピンボケは防げたとしても、その時の露出によってシャッタースピードが遅かったりすると今度は手ブレという新たな邪魔者が出現することもありますから、測距点が多いだけで失敗が防げるというものでもありません。(手振れに関しては各メーカーとも手振れ補正の機能をカメラやレンズに持たせていますが、あれも万能ではありません)
これはナイターのサッカーの試合を撮ったものです。
カメラはEOS 5D MarkⅢで、Exifを見ると絞りはF4、シャッター速度は1/250です。
EF 70-200mm F2.8L IS USM Ⅱ というレンズにEXTENDER ×2を付けたので開放値がF4となっていました。
レンズは開放でしかも望遠ですから被写界深度はとても浅いんですが、ピントは合っています。(もちろんAIサーボを使って被写体を追随させて連写で撮っています)
ただ、人が走るスピードでもシャッター速度が1/250では手足がブレていますね。
これは手ブレではなく、いわゆる被写体ブレです。
あ、ちょっと“ブレの種類”の方へ話がブレました…
これはブルーインパルスをやはり望遠で撮ったものです。
カメラとレンズは全く同じで絞りはF8です。
ブログに貼ると分かりにくいですが、ピントは合っています。
これも測距点が多いことの恩恵を受けていると思います。
こんなふうに、オートフォーカスのカメラだと測距点が多いほどピント合わせが楽になりますし、ピンボケ写真の確率も低くなります。
ただ、あんまりカメラ任せにピント合わせをすると、場合によってはいわゆるピン抜けをしてしまい、ピンボケ写真になってしまうこともありますから、動きものを撮る場合でもしっかりと被写体をカメラで追いかける必要はあります。
一方で、下のような被写体を撮るときには、測距点の多いカメラはかえって邪魔になります。
中央1点の測距点を使って自分の意思でピントを合わせるほうが確実です。
なぜかと言うと、AF任せにした場合、ピントが奥の鵜飼に合うか手前の水面に合うか分からないからです。
もちろんピントがどちらに合っても作品としては成立すると思いますが、それは撮影者の意図がある作品とは言えませんし、偶然の産物とも言い難いと思います。
というわけで、今ではオートファーカスのカメラが当たり前になり、そのオートフォーカスの性能も非常に優れているので、ピント合わせはとても簡単になりました。
でも、なにをどのように撮るかによってピント合わせの方法は違ってきます。
基本的な部分で構いませんので自分のカメラの操作方法を知ったうえで写真を撮ると失敗をとっても減らすことができます。
もしもピントがうまく合わないというときは、ここに書いたことをちょっと思い出してみていただければ幸いです。
(ちなみにiPhoneのようなスマートフォンでも、画面にタッチすれば自分の任意でピント位置を設定できますよ)