ファインダーは追憶の小窓

写真が好き。だれでも気になる小さなことや奥深いこと。そんなことを皆さんと一緒に考えて写真について深めてみたいと思います。

ピント合わせ。

ピント合わせって、皆さんどうされてますか?

「そんなのカメラが自動でしてくれるから意識なんてしてないよ」という方も多いかもしれません。

たしかに、今のカメラはオートフォーカス、それもかなり精度が高くなっていますので、昔のようにピントがずれることはほぼありません。

でも、ピントをどのように、またはどこに合わせるかによって、表現したい選択が違ってきますから、ピント合わせについて少しお話ししたいと思います。

 

たとえば、以前書いたボケを使った写真の場合、当然、被写体にピントをしっかりと合わせる必要があります。

(ただし、レンズを開放にしている場合が多く被写界深度はとても狭いですから、ピント合わせはシビアになります)

 

それでは、風景写真の場合はというと、逆に絞りをF11とかそれ以上に絞って被写界深度を深めて撮影することが多いですから、風景全体にピントが合ってればいい。

というよりも、極端に言えば目の前に広がる風景のどこにピントが合っていてもいいわけです。

その意味で、風景写真、それも風景全体を撮影するときはピント合わせにそれほど気を使うことはないと思います。

 

では、スナップ写真を撮るときはどうでしょうか? 

 

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                 これはノーファインダーです😅 

 

僕の場合、古いカメラを使うときはMFでピント合わせすることが多いです。
開放絞りなどの浅い被写界深度で撮る時はファインダー越しに真剣にピント合わせを行いますが、光量が十分確保されている日中のスナップではF8くらいに絞り込んで3m程度にピントを合わせておいてパンフォーカスでお気楽に撮っています。
AFだと楽といえば楽なんですが、基本的にカメラがピントを合わせるわけですからどこを基準にされるか分からないという不安があるので、複数の測距点を持つカメラではすべて中央1点のみの設定としています。
鳥や動物、乗り物などを連写で撮るようなスタイルの方は、数十個もAF測距点を備えたような高性能機の方が便利なんでしょうが、僕の場合はそのような機能はまったく必要ありません。
EOS-1Nを中古で購入した時にも「なんだ測距点は5つしかないんだ。EOS-1Vだと45個もあるのにね」とは思ったものの、考えてみれば自分は中央しか使わないのでいくつでも関係ないのです。

MFレンズで予めパンフォーカスにしてピント合わせせずにサクサクとスナップするスタイルだと、どんなに最新鋭のハイスピードAFよりも素早く撮ることができます。

                                          

                                         個人的に大好きなレンズ「Planar50mmF1.4」

 

一方、光量が少なく開放絞りで撮る場合などでもMFの方が信頼できますし(なにせピント合わせの責任は自分にあるわけですから)、そもそもヘリコイドを廻すことでモチーフを結像させるというプロセス自体が好きなんです。
「結像させる」と言葉で言うとなんだか無味乾燥な感じですが、ファインダーの中でぼやけていたモチーフがくっきりと浮かび上がる様は、ある意味ではそのモチーフを自分の手中に入れた実感のようなものを感じるのですね。
中でも非常に立体感溢れる二眼レフのファインダーは、ピント合わせした際には見とれてしまうほどの美しいものです。(ハッセルブラッドのファインダーはさらに美しいです)


まぁほとんどのカメラやレンズがAFになってからすでに久しいですし、マクロ撮影などならまだしも、なにもわざわざAFレンズをMFにしてまで使うことは無いと思います。
でも、しっかりとピントを合わせるのであれば、やっぱりマニュアルでの方が安心感があります。

また、AFでピントを合わせる場合でも、そこにどのように合わせるかを常に意識しながら、絵づくりすると一枚一枚の仕上がりがまったく違ってくると思います。