SIGMAのカメラはすごいと思う。
写真を撮る時、フィルムカメラの時代は自分の好きな色味が出るフィルムをチョイスして使っていました。
僕の好きなフィルムは基本的にネガだったんですが、カラーだとKodak EKTAR100やPORTRA400、モノクロだとKodak TRI-XやILFORD DELTA400をよく使っていました。
たまに使うリバーサルフィルムでは富士フィルムのPROVIAかKodakのEKTACHROMEのどちらかを使っていました。
こんな感じで、フィルムカメラだと選ぶフィルムによって微妙な色彩感の違いが出て、それが自分のフィーリングや作風につながってきました。
でも、デジタルカメラになるとフィルムを選んだりすることはできず、そのカメラのセンサーによって色彩感が固定されてしまうようになりました。
僕の感覚だと、キヤノンはややビビッドな色合い、ニコンはわりとニュートラル、ソニーはキヤノンよりもう一段ビビッド、富士フィルムはニュートラルといった具合でしょうか。
もちろん、RAWで撮ってPCで現像する際に自分好みに色彩感をコントロールすることは可能です。
富士フィルムなんかは、フィルムメーカーとしての個性で、JPEG設定でVELVIA、PROVIAなどのフィルムシミュレーション機能が搭載されて、往年のフィルム選びのようなことができるようになっています。
一方で、これらのメーカーと一線を画したセンサーを搭載しているカメラがあります。
それは、前回のコラムでも最後に少し書いたSIGMA DPシリーズです。
この写真は、近所の駐車場に停まっていたMINIを撮影したものです。
ブログ掲載の写真ではどこまでこの色彩感が伝わるかわかりませんが、他の一般的なメーカーで撮った写真とは色彩感が相当違います。
とても深くて艶のある色合いで、あえて言えば、耽美な色彩と言ってもいいくらいだと思います。
これは、SIGMA DPシリーズだけが搭載しているFOVEONセンサーの賜物なんですね。
DP以外のデジタルカメラが搭載しているセンサーはベイヤー方式と呼ばれるセンサーです。
FOVEONとベイヤーの構造の違いについては他のサイトに詳細説明を譲りますし、ネットでは双方の長所や短所が色々と議論されていますが、僕自身の感想としてはFOVEONの出す色彩は唯一無二だと思っています。
FOVEONセンサー搭載のカメラは高感度に弱いですし、画像ファイルがとても大きいため処理時間もかかります。
DPシリーズというカメラそのものの問題かもしれませんが、フォーカスに時間がかかるためスナップショットなどの速写性を求められるシーンにも弱いですし、最短撮影距離も長めです。
でも、じっくりと被写体に向かい合って撮影し、PCでその画を見たときの深みはこのカメラでしか味わえないユニークなものです。
まあ、使い勝手の上では弱点もあるカメラなので、これ一本ですべてを撮ろうとは僕も思いませんが、たまにFOVEONの魅力を感じたくなった時にはDP2を持ち出すんですよね。
DPシリーズは全4機種発売されていますが、すべて単焦点のためレンズの画角によってDP0からDP3までラインナップされています。
※DP0〜21mm相当 DP1〜28mm相当 DP2〜45mm相当 DP3〜75mm相当
使い勝手で言うと、風景などをよく撮る方は広角である28mm相当のDP1を、人物や物が主体だと言う方は標準の45mm相当のDP2を選ぶといいと思います。
僕も普段使いしているカメラではないんですが、これは一台持っていてもいいカメラだと思います。
だって他のカメラでは味わえない魅力を持っている唯一のカメラなんですから。