ファインダーは追憶の小窓

写真が好き。だれでも気になる小さなことや奥深いこと。そんなことを皆さんと一緒に考えて写真について深めてみたいと思います。

ボケとパンフォーカス

「ボケ」がいまでは大変重宝されていますね。

私が入っているSNSの写真グループでも、背景をぼかした花の写真が日々たくさんアップされています。

私がいろいろ写真について調べる中では、この「ボケ」はどうやら日本発祥のトレンドのようで、海外でも「Bokeh」としてそのまま用語が使われているようです。

ボケという撮影技法がどういうものかは皆さんご存知のとおりなので説明には及ばないと思いますが、念のためにネットの辞書に載っている意味を掲載すると、

 

写真におけるボケ(ぼけ、英: bokeh)とは、レンズの焦点(被写界深度)の範囲外に生みだされるボヤけた領域の美しさ、およびそれを意図的に利用する表現手法である。

【出典:Weblio英和辞典】

 

ということになります。

つまり、アウトフォーカスの部分に美しさや魅力を感じる手法でもあり、自分が写し撮ろうとするモチーフを強調する手法でもありますよね。

 

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ボケ写真(サインを浮かび上がらせるためにボケを使った例)

 ただ、ボケを云々するときに個人的に気になることがあります。

それは、ボケ味といって、レンズそのもののテイストに主眼が置かれて作品そのものの評価や撮影者の意図がすっ飛んでしまっている議論が多いことです。

以前にも書きましたが、日本人は特に機材を愛でる趣向の方が多いようで、写真そのものよりも「このレンズのボケ味はいいね」とか「このレンズのボケはグルグルだからダメだなぁ」とか、写真愛好家の中でもそういうところばかりの会話になっている気がしてなりません。

 もちろん、かく言う私もボケはよく使いますし、上の写真のように必然的にボケ写真とならざるを得ない場面もあります。

ただ、ボケ自体を愛でるという傾向は、それ自体が写真を作品として鑑賞する姿勢ではない気がしています。

それは単にレンズの性能や個性を愛でているわけですから。

(下のバナーにレンズがたくさん出ている方は、ネットでレンズをあれこれとご覧になっている方だと思います)

 

 

一方で、「パンフォーカス」についての議論や熱い意見というのはSNSやネットなどではほとんど聞いたことがありません。

ボケについて辞典で調べたので、ついでにパンフォーカスもネットで調べてみると

 

パンフォーカスあるいはディープフォーカスとは、写真または映画の撮影において、被写界深度を深くする事によって、近くのものから遠くのものまでピントが合っているように見せる方法、またはその方法により撮影された写真・映画のこと。絞りを適切に絞ったうえで、焦点を無限遠よりも手前に調整することによって実現される。「パンフォーカス」は和製英語であり、英語では「ディープフォーカス」などと言う。

【出典:ウィキペディア

 

とあります。

パンフォーカスの一番身近な例は集合写真です。

旅行や会合なんかの時にみんなで撮るあれですが、あの集合写真でボケ写真はあり得ませんね。

それから、風景写真でも広角レンズで情景全体を写し撮る、というような時はたいてい絞ってパンフォーカスにします。

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パンフォーカスの例(空が主体かつ遠景なので少々わかりづらいかも)

実際、「写ルンです」は絞りの変更はできませんが、集合写真や旅行先での使用を前提としているので、もともとF10くらいのパンフォーカスの設定になっていたと思います。

また、木村伊兵衛の写真はまるで居合い抜きのようにサッと撮影されているとよく言われますが、スナップショットの場合は被写体が来てから露出を設定してもシャッターチャンスを逃してしまうので、あらかじめパンフォーカスに設定しておきます。(F8〜F11くらいですね)

ただ、パンフォーカスでの撮影は基本的に難しいと思っています。

その主な要因は、パンフォーカスだといろんなものがハッキリと写ってしまうからです。

写真はよく「引き算」と言われますが、ファインダーの中のほぼすべてのものが写ってしまうパンフォーカスだと、自分の表現したい主題をきちんと明確にするのは少々難しくなってしまうので、構図の整理を中心にそれなりのテクニックやセンスが求められます。

なので、私自身もそうですが、ボケ写真とパンフォーカスの写真を比べたときには、やっぱりボケ写真の方が簡単に撮れる気がするんですね。

 

ボケ写真は魅力的ですし、パンフォーカスの写真には力強さがあります。

どちらも撮影テクニックとしては当然にアリですが、その時々によってしっかりと使い分けたうえでいい作品を撮るようにしたいものだと思っています。

 

 

あなたはファインダー派?それとも背面液晶派?

以前のことですが、会社の花見の準備をしていた若い社員が写真を撮るというので、せっかくだからと思って私のデジタル一眼レフを貸したことがありました。

カメラをその彼に渡して簡単な使い方を説明しようとしたら、スイッチを入れたにもかかわらず、彼は「画面が消えたままです!」と言ってビックリしています。

こちらも何を言っているのか一瞬戸惑いましたが、若い彼にとってカメラは背面液晶を見て撮るものだったので、ファインダーの存在すら知らなかったんですね。

隔世の感がありました(笑)

最近はスマートフォンで撮るのが主流になっていますから、ますますファインダーという存在は薄れていくのかもしれません。

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金沢にて(iPhoneで撮影)

私はやや古い人間なので、カメラにはファインダーが付き物だと思っています。

むしろ、ファインダーで撮る方がしっくりしますし、一眼レフのファインダーやミラーレスのEVFだと、ファインダーの中で絵作りをしようとさえします。

しかも、ファインダーを覗くとカメラをしっかりとホールドすることができますし、手振れを軽減するというメリットもあります。

ファインダーを覗くことで意識をモチーフに集中できるということもありますね。

でも、最近のカメラは確かにファインダーの無いものが多くあります。

というか、もう十数年前に子供が小学生の頃、学校のイベントを撮るために急遽コンデジを買ったら、もうその時にはそのカメラにファインダーは付いていませんでしたから、カメラからファインダーが消え始めてもうかれこれ20年近く経つかもしれません。

そういえば、私の愛用しているRICOH GRもファインダーは付いていません。(別売で素通しのファインダーを付けることはできます)

で、改めて考えてみると、ファインダーがあった方がいいとか、ファインダーで撮る方がいいなんて思っていたけれど、背面液晶で撮ってもあまり変わりはないなぁという気がしてきています。

むしろ、超ローアングルで撮るときとか、手を伸ばさないとモチーフに届かないとか構図が整わないような時は、ファインダーで撮るよりも背面液晶で撮った方がずっといい。

GRで撮っているときなんか、背面液晶画面すら見ずに撮ることも多いですから、どっちがどうということ以前の問題です(笑)

一方、X-Pro3は背面液晶が手前に180度までしか開かないので、液晶画面で撮るのはとてもしんどいので、基本的にファインダーで撮ることをあえて強いているという個性を持ったカメラもあります。

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我が家の癒し系(これはX-T2でEVFを使って撮りました)

それから、背面液晶で撮ることの大きなメリットがあります。

それは、カメラを構えていても周りが見えるということです。

ファインダーを覗いていると周りはほとんど見えません。

なので、シャッターを切るときに邪魔者が入ってきたりということもしばしばあります。

背面液晶だと周りが見えるので、周囲を確認しながらシャッターを切ることができるし、逆に周囲の動きを利用することもできます。

スナップショットの場合だと、自分はカメラを構えたまま、横から走ってくる自転車を確認しながらレンズの画角に入ったタイミングでシャッター切るなんてことも簡単です。

 

ということで、ファインダーのないカメラが出てきた当時は私にとってパラダイムシフトでしたが、ファインダーで撮るのも液晶画面で撮るのも、それぞれにメリットがあるなぁと感じています。

ただ、最近、初心者レベルの家内用にFUJIFILM X-A7というカメラを買いましたが、これはファインダーは付いてないのは当然として、背面液晶でいろんな操作ができるカメラ。

ピント合わせも露出補正も絞り調整もシャッターもほぼ基本的な操作のすべてが背面液晶でできちゃう。

もうこうなると年代物の私にはついていけません…

でも家内はというと結構ああだこうだ言いながら楽しそうに撮ってる。

その姿を見て分かりました。

あ、これはスマホと一緒の感覚で撮ってるんだと。

しかも撮った画像はさすがにスマホよりもぜんぜんキレイ。

これからは、SNSにアップする用のカメラはこういう流れになるんだな、とさらなる時代の流れを感じた次第です。

 

 

 

 

いい写真を撮るための最短ルート。

最近、Facebookのいくつかの写真コミュニティに入って、写真を投稿したり、他の人の写真を観たりしています。

僕はスナップショットが好きなんですが、昨今の情勢でなかなか外で撮ることができず、なんだか庭先の花を撮ったりして気を紛らわせていて、その花の写真をアップすると結構な「いいね!」が付くんですね。

で、以前撮ったスナップなんかを上げてみると、花の写真ほどは「いいね!」が付かない。

自分なりに自信のあるショットだと、少し傷ついたりします(笑)

あと、風景写真も多かったりして、アップされている写真のカテゴリとしては、花と風景でほぼ80%くらいを占める感じです。

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こういう一枚がSNSではウケます。

もちろん、アマチュアの集まりですし何を撮ってもいいわけですが、花と風景が大部分を占めているということには「やっぱりなぁ」という感じを受けました。

これは持論というか個人的な感覚なんですが、日本のカメラユーザーはカメラやレンズに一義的な興味や関心を持つ人が多いと思います。

なので、あえて「フォトグラファー」と言わず「カメラユーザー」と言ったんですが、カメラユーザーはカメラやレンズ自体が好きで、撮影自体もカメラのスペックや機能を駆使してどう撮るかということがメインに来ているようです。

だから、写真を撮る方向性が機械の方に向いているんだと思います。

そうなると、優れた機材はどれか、ということに気が向いてしまっているので、優れた写真を鑑賞する機会があまりないんじゃないか、と思うんですね。

優れた写真を見る機会が少ないと、カメラユーザーの脳内にある「美しい写真」のイメージは、やっぱり駅で見るポスターや絵葉書に載っている風景だったり、一番イメージとして残りやすい花だったりして、それでこのようなカテゴリーの写真を撮っていったり人気があったりするんじゃないかという気がしています。

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夏の兆し

事実、こういうSNSのコミュニティ(特にカメラメーカーやミラーレスなど機種を指定したコミュニティ)では、写真そのものの話題よりも機材のことや撮影テクニックの話題が多く見受けられます。

上に載せた写真なんかはいつものGRでノーファインダーでさっと撮っていますが、スナップショットでは撮影テクニック云々を言っている間にチャンスはどんどん目の前から過ぎ去っていきます。

撮影テクニックは知っておいて損はないのでしょうが、テクニックを駆使してその辺にあるような一枚を撮るよりは(失礼!)、自分の感性を前面に出した個性的な一枚を撮る方がずっと素敵な作品が撮れることは間違いありません。

そんな中でも、とても個性的で勉強になる作品を多数アップされている方がおられます。

どうやらライカ社のLFIの会員にもなっておられる様子で、一枚一枚の完成度の高さはハイアマチュアのレベルです。

基本的にその方はスナップショットがメインなので、僕の心にも刺さる部分が大きいのかもしれませんが、「どうやったらこんな瞬間を撮れるんだろう」と羨望の眼差しで拝見したりしていますので、これからも楽しみにその方の作品を拝見させて頂こうと思っています。

 

僕の好きなフォトグラファーの一人である森山大道氏はこんなことを言っています。

 

もうずっとコンパクトカメラを使ってるけど、でもそれがなくても、撮りたくなったら、どんなカメラでもいいから目のまえにあるカメラで撮ります。たとえそれが「写ルンです」でもポラロイドでも大型カメラでも。
これでなくてはなんてことはまったくないです。

 

真は機材じゃなくて、撮り手のモチベーションなんですね。

けだし名言だと思います。

 

そんな森山大道氏が愛用しているカメラの一つがRICOH GR。

森山大道はこう言っています。

GRを使う一番のモーメントは、パッと手に馴染むのが体感できるところ。
ファーストインプレッションのようなものでパッとくるものがある。
もう50年以上ストリートスナップを撮っているが、色々使った中でGRシリーズがストリートスナップに最も適している。

 

 

彼はフィルム時代のGR1から愛用しているようで、デジタルになったGRも使い続けているそうです。

機材の優劣や性能を云々するよりも、自分の使いやすいカメラを使ってたくさん写真を撮ること。

そのためにはまず優れた作品を多く鑑賞して自分なりの豊かなイメージを持っておくこと。

いい写真を撮るにはこれが最短ルートだと思います。

 

X-Pro3は楽しいカメラだ。

先月、X-Pro3を導入してから、久しぶりに写真を撮るのが楽しくなってきました。

まぁあれですね、大人でも新しいおもちゃが手に入るとウキウキしてしまうもので。

あまりカメラのレビューなんかはしないんですけど、このカメラに関してはちょっと感じるところがありましたので、その印象なんかを書いてみようと思います。

                                                     

                                                     FUJIFILM X-Pro3 

                                   

このカメラ、かなり尖っていまして、背面液晶が通常だと閉じちゃった状態なんです。

なので、デジカメなのに撮影した画を確認するのにいちいち液晶画面を開かなきゃいけない。

でもいちいちは面倒なので、もう割り切ってよほどのことがない限り撮ったら撮りっぱなしになる。

でも、これがいいんですね。

              

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       いつもは左な感じで、液晶画面を見るためにはいちいち引っ張り出す必要があります。

 

なんにがいいかって、ファインダーや被写体に集中できる。

なんていうかこういうとオヤジ臭くなりますが、フィルムカメラで撮るときは、結果は現像してから出ないと分からないじゃないですか。

それとほぼ一緒と思えば、撮っていちいちかくにんしなくてもいいんですよね。

しかもこれはデジタルだから、いくらでも撮れるわけですし。(フィルム代関係なし)

ファインダーや被写体に集中できるっていうことは、自分の脳内で「こんなふうに撮ってやろう」というイメージが膨らむんです。

すると、液晶画面で確認しながら撮るよりもアウトプットがよくなる気がします。

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窓辺にて(X-Pro3+XF16mmF2.8 R WR)

それともうひとつ。

いろいろ人によって意見は分かれるようですが、やっぱりハイブリッドファインダーがいい。

素通しの光学ファインダーはとっても見やすくて、もうパララックスとか意識せずにバシバシ撮っちゃう感じ。

もちろん、一眼レフ的にきちんと構図を整えたいときには液晶ファインダーに切り替えればいいわけで、スナップショットの時は基本的に光学ファインダーで気持ちよく撮るスタイルがいい。

これって、レンジファインダーカメラの流れなんだなってことがよく分かります。

昔、EPSON RD-1というデジタルカメラレンジファインダーカメラがありました。

使ったことはないけれど、ずいぶん進化した姿がX-Pro3なんだろうなぁなんて考えたりします。

 

news.mapcamera.com

 

デジタルのレンジファインダーカメラといえば、泣く子も黙るイカMシリーズが今でも存在していますが、あんな高いカメラは買えませんし、その意味でもちょっと頑張れば買うことができるX-Pro3の存在って素晴らしいと思うんです。

しかも、今まで使っていたEOS 5D MarkⅢなんていうフルサイズの一眼レフカメラに比べれば全然軽くて、お散歩しながら気になったものをパシャパシャ撮るのもお手のものです。

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落としもの。(X-Pro3+XF23mmF1.4 R)

写真を撮るスタイルは人それぞれですので、デカイ一眼レフのシステムを構えて撮るのが気合が入っていいという方もいるでしょうが、僕は簡単にしかも速攻で撮るスタイルが好きなんで、このカメラがとっても合っています。

 

しかも、FUJIFILMは発色がとても素敵です。

FUJIFILMのカメラに搭載されてる「フィルムシミュレーション」。
これはFUJIFILMの発売している(していた)フィルムの色彩や風合いをデジタルカメラでも再現したもので、懐かしのフィルムを使っている雰囲気がとてもいい感じ。
このフィルムシミュレーションで撮ると、ファイル形式はJPEGになります。
なので、いわゆる「撮って出し」でどうだ!、って感じで撮れるんです。
それに、フィルムシミュレーションは当然に一回一回変更できるから、被写体やイメージによって変える楽しみもある。
フィルムなんて一度装填したら撮り切るまで買えられませんからね。
ハッセルブラッドみたいにフィルムがマガジン方式ならできますけど)
フィルムシミュレーションのなかで「ベルビア」というリバーサルフィルムが選択できるんですが、これで花を撮ったらばすごく発色が素敵。
実際のベルビアよりも少し彩度高めじゃない?と思わなくもないけれど、このフィルムシミュレーションを使いたいがために普段あまり撮らない花々を撮ったりしています(笑)

 

ということで、等倍鑑賞でどうとか、センサーがどうとか、高感度耐性がどうとか、そんなことは気にしていなくて、使って楽しいかどうかと問われれば「楽しいよ!」と素直に言えるカメラです。

まぁ、冒頭に言ったように尖ったカメラでもあるので、決して万人受けはしないでしょうけど。

ところで、ちょっと気になっているレンズがあります。

XF50mmF2 R WRという中望遠の単焦点レンズ なんですが、このレンズの35mm相当の焦点距離は74mmになるそう。

実はレンジファインダーの世界では75mmの中望遠レンズというカテゴリーは昔からあって、このくらいの焦点距離でスナップしたいなって思ってるんです。

中原卓馬なんか、たしか85mmの中望遠でスナップショットを撮っていたような気がしますが、いつもよく使う35mm相当のレンズとは違ったアプローチができるだろうなと妄想しています。

 

 

 

 というわけで、もしかするともう一本レンズが増えるかもしれないという危険な匂いを感じていますが、それはそれ。

レンズ沼に入る気はありませんけど、自分の撮りたい写真を撮るための道具として、ゆっくり冷静に検討しようと思っています。

(いつまで冷静にいられるかは分かりませんけれどね。)

 

 

 

 

6年ぶりに新しいカメラを買った。

カメラやレンズで写真が上手になることはないと達観している僕が、ひさしぶりに欲しいカメラに出会った。

FUJIFILM X-PRO3だ。

                 FUJIFILM XーPRO3

           

X-PROは初代からとても気になっていたカメラだけど、今回、とても響いたのが、背面液晶の扱い方。

デジタルカメラなら背面液晶はファインダー替りになっていて、撮影情報なんかも表示されているのが普通。

だけど、今回のX-PRO3はなんと背面液晶は通常ではフィルムシミュレーションの情報しかない。

しかも単なる小窓だ。

これはフィルムカメラの時代に、カメラに詰めているフィルムの種類を忘れないようにフィルムの外箱を切ってカメラ背面に差し込んでいたのを再現している。

これだけでも昔からカメラを扱っているものにとってはシビれる仕様だ。

もちろん、初代から引き継がれているファインダーもとっても魅力的。

レンジファインダー的なOVFなんか、パララックスなど気にするものかと挑んで撮影したくなるし、楽に撮っていこうとすればEVFに切り替えればいい。

僕のようにほぼストリートスナップしか撮らないフォトグラファーにとっては唯一無二のカメラであり、神機のような存在だ。 

 

ということで、もう5〜6年ぶりにカメラを新調したわけです。

まだX-PRO3は手元にはきていないけれど、レンズも一本購入を検討中。

XシステムはもともとX-E1を持っていて、これも結構お気に入りのカメラで小型軽量なので、最近は旅行には重いEOS 5D MarkⅢではなく、いつもこっちを持参している。

今回X-PRO3を新調したのに合わせて、レンズも標準ズーム1本、単焦点2本(XF23mm F1.4、XF35mm F1.4)を持っているのに加え、やっぱり広角単焦点が欲しいなぁと。

そこで大有力候補がこのレンズ。 


 

開放F値はF2.8に抑えられているけれど、最新のデジカメなら暗所での撮影に大口径レンズが必須ということでもないし、広角レンズでの撮影でボケを求めるような撮影は滅多にしない。

それなら比較的安くて小型軽量なこのレンズのほうが、よほどスナップシューティングに合っている。

それにXマウントに付ける、Mマウントとコンタックスマウント用のアダプターももともと持っているので、X-PRO3で使えるレンズは手元に結構ある。

ということで、近々、カメラとレンズが手に入れば近所を散歩しながらパシャパシャととってみたいと思う。

それから、もう年に一度か二度しか持ち出さないEOS 5D MarkⅢとEFレンズの大部分は処分して、今回の出費の一部に当てるつもり。

もしも一眼レフで撮影したくなったときは、家内のEOS Kiss X6iを拝借しよう。

正直、Kiss X6iはもうずいぶん古いデジタル一眼レフになるけど、でも十分いろんな撮影ができる。

ハイスペックカメラでなくても、自分の使い勝手のいいカメラ、使いたいカメラを選ぶことが一番だと思うのです。

この持論だけは真実だと思っています。

 

自分に合うカメラとは?

当たり前のことですけれど、写真を撮るにはカメラとレンズが必要です。

ただ、いつも言っている通りいい写真を撮るのにいいカメラやレンズは必須ではありません。

iPhoneなどのスマートフォンでもいい写真を撮ることはできます。

要は撮影する人のセンスやスキルがとても大切なんですから。

でも、そうは言っても、写真を撮るのを趣味にしたらカメラやレンズが欲しくなるのが人情です。

どんなのを買おうか、どんなのを買ったらいいんだろう、とネットでいろいろと記事を検索して調べたりすることと思います。

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街角にて(ネガフィルムを多重露光で撮影)

しかも、今のデジタルカメラは仕様がいろいろあって、一眼カメラと言っても従来の一眼レフだったりミラーレスだったり、また、フルサイズだったりAPS-Cだったり、初心者の方には初めは何がなんだかよくわからないじゃないかと思います。

そのうえ、カメラそのもののメーカーによってマウントが違ってくるので、同じメーカーのレンズのラインナップから選ぶのが基本となります。

でも、メーカーは同じでも普通の一眼レフカメラとミラーレスカメラでマウントが違ったりします。

また、タムロンやシグマなどのサードパーティーのレンズもなかなかいいものがありますが、自分のカメラのマウントに合うものが出ていなかったりします。

こういう時はマウントアダプターというのを使えばちゃんと合うようになっているんですが、そういうことを知らずにレンズを買ってしまうと後々ちょっと面倒ですよね。

 

レンズ交換のできるカメラシステムというのは用途によってレンズを選択できるのでとても便利です。

でも、マウントを合わせることもそうですが、実際撮影に出かける時になると「これもいるかな、あれも持っていったほうがいいかな」なんていうことで、結構ムダにたくさんのレンズを持っていったりして重い思いをすることも多々あります。(以前の僕がまさしくそうでしたw)

極端に言いますが、本当にレンズ交換しなければ撮れない写真っていうのは、超望遠レンズを使わなけらばいけない被写体を撮るときくらいじゃないかと思います。

例えば、鳥、飛行機、モータースポーツ、鉄道、などなどです。

日常で望遠レンズがあったほうがいいというシチュエーションは、運動会くらいでしょうか。

なので、僕自身としては、レンズ交換でコストと時間を使うならば、むしろコンパクトカメラで十分ではないかと思うんですね。

コンパクトカメラだとレンズ交換できませんから割り切りがつきます。

それに、もともとズームレンズを搭載しているものが多いですから、自分の使いやすいズーム性能を持ったカメラを買えばいいと思います。

しかも軽くていつでもどこでも持っていける。

この点は写真を撮る部分ではとっても大事な要素だと思います。

じゃあ、おすすめのコンパクトカメラはどんなのかというと、一押しはSONY RX100です。

このカメラは初代から色々と改良を続けていて、現在は7代目のMarkⅦまでリリースされています。

 

 

ただ、センサーは1型であることは変わっておらず、MarkⅤまでのレンズは24-70mm F1.8-2.8、MarkⅥとⅦは24-200mm F2.8-4.5と焦点距離と明るさに違いがあります。

どちらもカールツァイスの明るいレンズを搭載しているうえにセンサー自体の性能も高いので、少々暗い場面でも大きな問題なく撮影が可能ですし、小さめの1型センサーでも撮りようによって十分ボケ写真を撮ることもできます。

実は、僕もRX100 MarkⅢをずっと愛用していて、ちょっとした旅行ではこれ一台だけ持っていくというスタイルが多いです。

このMarkⅢはまだ販売していてかなり割安になっていますが基本性能はMarkⅤと遜色ないので、焦点距離的にご自分に合うのであればかなりお勧めのモデルです。

 

 

お子さんがまだ学校に通っている年頃で、運動会なんかを撮るには一眼レフなどのカメラが便利かもしれませんが、そうでなくて普通に街や旅行で写真を撮ったり、家でアイテムを撮るというような一般的な使い方なら、こういうコンパクトカメラをチョイスするほうが全然いいと思います。

あまりネットや店頭で色々と惑わされずに、自分が何を撮りたいのかを基準に、自分に合ったカメラをぜひ選んでください。

 

モノ撮りのときは単焦点レンズ

レンズっていろいろありますよね。

写真を始めて最初の頃は、一眼カメラを買ったとしてもキットレンズのズームレンズだけで撮っていくことが多いと思います。

キットでカメラに付いているズームレンズもなかなかの性能を持っているものが多くて、例えばフジノン XF18-55mmF2.8-4 R LM OISなどはFUJIFILMのカメラにキットレンズとしても販売されていますが、広角端の絞りの開放値がF2.8であったりレンズの描写力が高かったりで実は僕も愛用しているレンズのひとつです。

まぁ、このレンズは単体での希望小売価格は81,000円ですから、キットレンズとしては結構高額の部類に入りますので基本的に高性能レンズであると言えますね。

話を戻しますが、そうやってズームレンズでいろいろと撮っていると、基本的には便利ではあるんですけれど、撮影スキルや知識が上がってくるとズームレンズだけでは物足りなくなってくることがあります。

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ズームレンズの一番のメリットは、レンズ交換をしなくても広角や望遠の撮影ができることです。

ズーミングができるということは、撮影者がその場を動かなくてもある程度被写体を大きく撮ったり小さく撮ったりできる。

それは構図を整えたり、被写体を捉えるのにとっても便利ですよね。

でも、ズームレンズの一番の不利な点は「明るくない」ということです。

一般的な普及版の標準ズームレンズだとF値は広角端でF4で望遠端だとF5.6が開放値になります。

最近のデジタルカメラではかなりの高感度撮影が可能ですので、これくらいのF値でも基本的に撮影はできます。(カメラによっては高感度撮影の時には画像が荒くなることがあります)

それでは、なぜズームレンズのF値が問題になるのかというと、写真を撮り進めていくと必ず「背景をボカした写真を撮りたい」という欲求が出てくるのですが、暗いズームレンズだと盛大なボケが出てこないんですね。

背景をボカした写真を撮るためには、

①開放F値の低いレンズを使う(F1.8以下がおすすめ)

②被写体との距離を最短距離で撮りつつ、被写体と背景の距離をできるだけ取る。

③広角レンズよりも望遠レンズを使う

というような方法があります。(この3つの方法を組み合わせるとむちゃくちゃボケます)

この中で、一番基本的なことは明るいレンズ(開放F値が低いレンズ)を使うことです。

で、このようなF値の低いレンズというと、やはりズームレンズでそういうモデルはとても高価ですし、いっそのこと単焦点レンズを買った方が安くて手っ取り早いということになります。

特にSNSにフードやアイテムなどの写真をアップされている方は、背景をボカした写真を撮りたいと思っておられる方も多いと思います。

では、単焦点レンズで物撮りする時のおすすめはどういうのでしょうか?

 

物撮りに一番適しているのはマクロレンズです。

マクロレンスというのは最短撮影距離(ワーキングディスタンス)が短いレンズです。

なので接写に最適なレンズで、物を撮るときに被写体にかなり寄って撮ることができます。

どのメーカーのマクロレンズでも開放F値はF2.8ですが、接写することで背景が一層ボケてきます。

このため、マクロレンズで物撮りをすると背景が簡単にボカすことができますから、いろんな意味で最適だと思います。

各社からマクロレンズが発売されていますので、ご自分のカメラのマウントに合うモデルを探してみてください。

キヤノン用】

 
 

ニコン用】

 

【汎用:マウントを選べます】

 

 

ただ、マクロレンズも標準的なものでも4〜5万円くらいとそこそこのお値段がします。

もちろん高性能なマクロレンズだと10万円オーバーにもなります。

もっとお手頃にボカした物撮りができればなぁという方には、キヤノンだとEF 50mm F1.8 STM という廉価版レンズがあります。

これは1万円少々で買えるので、ネットでは「撒き餌レンズ」とも呼ばれています。

要するに、このレンズを使ってもらって単焦点レンズの良さを分かってもらい、ここから他のレンズも買ってもらおう、ステップアップしてもらおうという意図があるんじゃないかということなんですね。

でも、このレンズ、安いわりにはなかなかの描写力で、僕も以前このレンズを使っていたことがあります。

このレンズに相当するレンズは他のメーカーには無く、ニコンでは同等のモデルは倍くらいのお値段がしますから、これはキヤノンユーザーのメリットだと思います。

 

ブログやYouTube、インスタグラムなどでもっときれいな写真をあげたい、という方であれば、ぜひこのレンズをお勧めします。

マクロレンズほど寄れませんが、工夫すれば写真そのものはマクロレンズで撮るのと同じような出来映えになります。

このレンズでまず練習してから、さらにレベルアップしたいという方はマクロレンズに買い替えてもいいと思います。

写真は機材では決まらないというのが持論ですが、撮影に適した機材を使うことは別です。

ぜひ自分の撮影スタイルに合ったカメラやレンズを見つけてください。