ファインダーは追憶の小窓

写真が好き。だれでも気になる小さなことや奥深いこと。そんなことを皆さんと一緒に考えて写真について深めてみたいと思います。

被写界深度

今から20年くらい前、初めて自分で一眼レフを買った。ミノルタα7700iだ。標準ズームと300mmの望遠ズームにストロボを一緒に買って、確か20万円くらいだったと思う。
子供のころに親父の持っていた一眼レフを何度か撮らせてもらい、なんとなく「いつか自分も一眼レフが欲しい」と思っていたのだろう。
初めての一眼レフは、親父の一眼レフとは違ってすでにフルオートだった。シャッターさえ押せばなんでも撮れた。
それでも一眼レフの勉強をしたいと思って何か写真の基礎について本を買ったのを覚えている。その時に覚えた写真用語が「被写界深度」だった。
でも、なぜかその時は意味が分からなかった。何度か本を読み返したが、それでもよく理解できなかったことだけは記憶している。
αはよくサーキットに持っていき、モータースポーツ流し撮りをしていたのでシャッタースピードのバランスだけは必要に駆られて覚えたのだが、それでも「被写界深度」だけはずっと理解できなかった。
結婚し子供が小さい頃までαは現役だったが、そのうちにだんだんと使わなくなってしまった。


                

5年ほど前、家内が「子供たちの野球やサッカーを撮りたいからデジタルの一眼レフを買う」と言いだした。近所のコジマへ行って、勧められるままにEOS Kiss Digital N Wズームキットを購入した。望遠ズームが200mmだったので「これで足りるかい」と店員に尋ねたら、「デジタル一眼レフですからこれで300mmになります」と言われたがよく分からなかった。とりあえず「300mm相当になるならいいや」となんだか納得しただけだった。
それから、やっぱり“かんたん撮影ゾーン”だけ使って子供たちを撮っていた。

その後、新聞で「中級一眼レフ人気上昇中」みたいな記事を読んでEOS 40Dが欲しくなり、雪の中、横浜で思い切って購入した。
それからだった。
突然自分の中で写真熱が急速に膨れ上がったのは。
写真撮影やデジタル一眼レフの基本についての本を結構読んだし、下手なりに覚えた知識を活かして撮影にもトライした。
そしてやっとわかった。「被写界深度」の意味とコントロールの仕方が。

 

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今は写真を撮るのが本当に楽しい。間違いなく生涯の趣味になるだろう。
まだまだ“納得いく一枚”は撮れないが、試行錯誤しながら、カメラやレンズの性能にも頼りながら、少しずついろんな写真が撮れるようになってきたと思う。
それでもプロアマ問わず溜息が出るような写真を見るたびに「どうしたらこんな写真が撮れるんだろう」と自分のスキルの低さを痛感するのは日常茶飯事だ。

道を歩くたび、電車に乗るたび、車を走らせるたびに被写体を探す自分がいる。四季をこれほど肌で敏感に感じ取ろうとしたのは生れて始めての経験だった。
楽しみながら、悩みながらこれからも自分なりの写真を撮ろうと思う。自分の中の「被写界深度」をある時は浅く、ある時は深くしながら。

 

※このコラムは自分が今から10年まり前、まだビギナーだった頃に書き残したものです。同様に感じておられる方がおられれば参考になるかもと思い、掲載しました。

 

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